- 日本古来の楽器を意識した深みのあるBGMと綺麗な描写が特徴。
本作の舞台は文明開化の波に乗り近代化への道を進む大正時代の信濃。しかし、そこには人間がもののけを尊びその力に畏怖の念を抱いていた頃の名残は薄くなりつつあった...。
本作で選べる5人の主人公はそれぞれの希望を胸に、もののけ達と血の契約を結んだ術者の参加する「百鬼夜行の戦い」というもののけ達の聖戦に参加し、その勝者に与えられる『天降勾玉』を全て揃える旅に出る…。「百鬼夜行の戦い」は1週間おきに行われ、術者はその合間にもののけ達を鍛えたりアイテムを準備し、「百鬼夜行の戦い」に備えなければならない。因みに、「百鬼夜行の戦い」に負けた場合はゲームオーバーとなり強制的にタイトル画面に飛ばされます。
戦闘システムは簡単で、前衛2体&後衛2体そして血の契約者(術者)の最大5キャラが戦闘に参加し、相手術者の体力を0にすれば勝利、反対に自分の体力が0になってしまったら敗北となる。また、戦場には火・水・風・土の4属性が存在しており、属性を自分の操るもののけの属性に合わせることが勝利への近道と言える。術者への攻撃は前衛と後衛のもののけ達が全滅もしくは一時的に全てのもののけが気絶している時に限られる。また、術者は行動可能の吹き出しが出ている間はいつでもターン割り込みする事ができる。さらに、道具や強力な術を使用できたり反撃を受けなかったりとかなりポテンシャルが高く設定されている。これは、自分だけではなく相手の術者にも言えることなのでこのあたりが戦闘に勝つための鍵となると思われる。尚、仲間のもののけ達は耐久度(HP)と魂(残機)を全て失うと消滅し生き還らせるのが困難な状態になり、今後の戦闘に参加出来なくなる。しかし、耐久度(HP)が0になっても魂(残機)に余裕があれば時間経過とともに蘇る。また、もののけ達の持つ魂は3〜6個となっているのでより多く魂を持つもののけを戦闘に参加させた方が得策といえる。勿論、魂が多いもののけは入手経路が難しいので序盤は魂の少ないもののけを使い回してしのぐといいだろう。この戦闘システムと同じくらいに本作の特徴とも言えるのは「霊気」というアイテムの存在。マップ上にランダムで生じる霊気ポイントに向かうと霊気を結晶化するか、もののけに与えるという選択肢が現れる。もののけはこの霊気を一定以上ためる事が変化の最低条件となるので物語の序盤から終盤まで通して重要なアイテムであろう。また、霊気は物語が進行するにつれてその重要性を増していく。道具の複製やアイテムからもののけを作る時に使用するからである。特に終盤では希少性の高いアイテムが出現するのでそれらを複製するために霊気の結晶が必要となってくる。
ストーリーは前述しように血の契約者となった術者が37個の『天降勾玉』を全て集めるまで戦い続けるというもの。各キャラクターは立場は違うものの様々な想いを胸に、いつ終わるとも知れない百鬼夜行の戦いへの参加を誓う。そして、『天降勾玉』を集めていくうちに彼等は戦いの本当の意味を知ることになる。そして自分達が持つ運命に翻弄されつつ、物語は加速していく…。
私がこのゲームをプレイして気付いたのが、戦闘の「理不尽さ」です。こちらには相手陣営全体を攻撃する手段が少ないのにもかかわらず、相手側は入手困難なアイテムを湯水のように使用してきたり、自陣全体を瀕死に追い込むような術を多用してきたりとその理不尽さはゲーム史上屈指です。それが如実に現れていたのがやはり、ラスボス戦でしょう。ラスボス戦の前に中ボス戦+通常戦闘が1回ずつ入るだけならまだ我慢できるが、どちらも『戦闘前の体力回復不能』+『セーブ不可』という状況。しかも中ボスとラスボスは両方とも1回の攻撃で自陣が瀕死状態になってしまい、自陣のもののけ達の体力を回復させるだけでも一大事。これはゲーム史上稀に見る「超アンフェアーな闘い」でした。勿論、仲間4体中2体死亡&2体瀕死の状態で始まったラスボス戦は戦闘直後に全範囲攻撃を喰らい即死。しかもそのままゲームオーバーとなり強制的にタイトル画面に……。トホホ。
(text by ウナギイヌ)
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